2025-04-29

大きなお金が動く不動産取引では、トラブルなく円滑に手続きを進めたいですよね。
売主と買主の双方が納得のいく取引にするには、よくあるトラブルとその対策方法を知っておくことが大切です。
今回は、不動産売却をご検討中の方に向けて、よくあるトラブル事例と対策方法について解説します。
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不動産会社に仲介を依頼して物件を売買する場合、宅地建物取引士が買主に対して重要事項説説明をおこないます。
重要事項説説明とは、売買契約を結ぶ前に物件の状態や権利の状況、取引条件などの重要事項を説明することです。
売主と買主で認識をすり合わせてトラブルを防止する目的がありますが、説明が不十分だと買主と揉める原因となります。
説明不足によって買主とトラブルになった場合、責任を負うのは不動産会社ではなく売主です。
トラブルなく円滑に売買を進めるためにも、売主側も必ず重要事項説明の内容を確認することが大切です。
ここからは、不動産売却時に注意したい重要事項説明に関するトラブル事例を解説します。
隣地との境界線が曖昧だとトラブルに発展するリスクが高いため、売却前に測量図と境界標の照合をおこなうのが一般的です。
しかし、相続した古い土地などの場合、境界線が曖昧になっていたり境界標が抜けていたりすることもあります。
売主には境界明示義務があるため、もし境界線がハッキリしていないのであれば、必ず買主に告知しなければなりません。
この告知を怠ると、買主とトラブルになる恐れがあり、そもそも境界線が曖昧な土地を購入する方はほとんどいないといえます。
トラブルを回避するためにも、事前に確定測量をおこない、境界をハッキリさせてから売り出すことをおすすめします。
売却した土地と隣地の用途地域が異なっていたために、買主とトラブルになるケースもあります。
用途地域は、建築できる建物の用途等を定めたエリアのことで、住居系・商業系・工業系の3つに大別されます。
用途地域の中で最も厳しい規制が設けられているのは、住居系の1つである第一種低層住居専用地域です。
売却する土地が第一種低層住居専用地域に該当する場合、高層の建物は建築できません。
しかし、用途地域は必ずしも隣地と同じとは限らず、売却する土地の隣がほかの用途地域になっていることもあります。
この場合、それぞれの用途地域の制限を受けることになるため、隣に高層マンションが建つことがあるかもしれません。
買主が「第一種低層住居専用地域に該当するから」という理由で物件を購入した場合、高層マンションが建つことで景観が変わるため、苦情を受ける可能性があります。
トラブルを回避するためにも、物件が用途地域の境界線周辺にある場合は、周辺の用途地域についても説明しておくことをおすすめします。
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不動産を売り出して買主が見つかると売買契約の締結に進みますが、その際に契約解除を巡ってトラブルになることがあります。
契約を結んだ後に買主側の事情でキャンセルとなる場合、買主は支払い済みの手付金を放棄することで契約解除が可能です。
反対に、売主側の事情で契約を解除したい場合は、買主から受け取った手付金を2倍にして返さなければなりません。
このように、契約解除は基本的にお金で解決することになりますが、なかには手付金の支払いを請求できない解約もあります。
それが「住宅ローン特約」の適用による契約解除です。
住宅ローン特約とは、買主が住宅ローン審査に落ちた場合に、売買契約を白紙にできるという特約をいいます。
不動産購入時には、ほとんどの買主が住宅ローンを利用しますが、本審査が実施されるのは売買契約を締結したあとです。
買主の返済能力や信用情報などによっては、住宅ローンの審査に通過できず、物件を購入できないとなるケースもあります。
そして、ローンを組めず、仕方なく契約を解除したいとなった場合にも、手付金を放棄するとなったら、買主にとって大きなリスクとなります。
そのため、住宅ローンの利用を前提とした取引では、売買契約書に「住宅ローン特約」を付けるのが一般的です。
その住宅ローン特約をつけると、買主がローンの審査に落ちてしまった場合に、売買契約を白紙に戻して手付金を全額返金する必要があります。
それにより、売買代金はおろか手付金さえも受け取れないため、住宅ローン特約に売主側のメリットはありません。
しかし、住宅ローン特約をつけないと購入を見送られることもあり、買主がローンを利用する際は特約をつけるのが一般的です。
ローンの審査では、信用情報や返済能力が重要視されるため、審査を通過しそうな、信頼できる買主を探すようにしましょう。
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契約不適合責任を巡って買主とトラブルになり、裁判に発展しているケースもあります。
契約不適合責任とは、引き渡した不動産が契約書の内容と適合しない場合に売主が負う責任です。
不動産売買における契約不適合責任では、引き渡し後に発覚した不具合が、契約書に記載されているかどうかが争点となります。
売却した不動産に不具合や欠陥があっても、それを売買契約書に記載して買主に告知していれば、売主が契約不適合責任を問われることはありません。
しかし、売買契約書に記載されていない不具合があとから発覚した場合には、売主が修繕費用を負担する必要があります。
つまり、不具合がある不動産を売却することが問題なのではなく、不具合について契約書に記載しないことが問題となるのです。
ここからは、契約不適合責任を巡るトラブル事例を解説します。
中古物件の売却では、雨漏りが原因でトラブルになるケースが多いです。
建物はどんなに大切に使っていても、経年や使用によって徐々に劣化していきます。
なかでも、屋根は常に外気にさらされているため劣化しやすく、ヒビが生じて雨漏りに繋がる可能性があります。
もし売買契約書に記載がない雨漏りが後から見つかったら、原則として売主が修繕費用を負担しなければなりません。
場合によっては、売却代金の減額や損害賠償、契約解除を請求されることもあります。
古い物件を売る際は、事前に建物の状態をチェックし、破損や不具合があれば契約書に漏れなく記載することが大切です。
シロアリによる被害も、契約不適合責任に問われやすい事例のひとつです。
シロアリは、住宅の構造材を食い荒らすことで、家の安全性や耐久性を低下させます。
地震などの災害時に倒壊する恐れもあるため、売却後に見つかると契約解除を求められるリスクが高いでしょう。
シロアリ被害は、なかなか目視では確認しづらく、売主が把握できていなかったというケースも珍しくありません。
しかし、売買契約書に記載のないシロアリ被害が見つかった場合、その責任は売主側にあります。
契約不適合責任に問われるのを避けるには、不動産売却前に建物についてしっかり調査しておくことが大切です。
ホームインスペクション(住宅診断)を実施すれば、シロアリ被害の有無を確認することができます。
費用はかかりますが、安全を買うという意味でも、中古住宅を売る際にはホームインスペクションもご検討ください。
不動産売却時には、重要事項説明書の内容をよく確認し、状況に応じて境界線や用途地域についても記載する必要があります。
契約解除については、基本的に手付金で解決できますが、住宅ローン特約によるキャンセルの場合は、手付金を買主に全額返金しなければなりません。
また、契約不適合責任を問われないようにするためにも、中古住宅を売り出す際は、ホームインスペクションの実施もご検討ください。
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